中村耕一郎在エストニア日本大使より御挨拶
令和8年10月22日
皆さん、こんにちは。特命全権大使の中村耕一郎です。
2024年10月18日にタリンに着任し、早くも2年が経ちました。もうすぐこの国に来て三度目の冬を迎えようとしています。昨年の冬は比較的寒く雪が多かったですが、今年はどうなるでしょうか?タリンの冬はクリスマスマーケット、音楽会、劇場と楽しいイベントが多く、楽しみにしております。
この一年間もエストニア政府、国会、防衛、ビジネス、教育、科学、文化を含めエストニアの多くの方にお会いすることができました。また、タルトゥとオテパーを中心とした南エストニア地方、セト地方、パイデ、ハープサル、サーレマー島、ヒーウマー島、ラクヴェレ、シッラマエ、ナルヴァ、パルディスキを含めこの一年間でエストニアの多くの場所を訪問することができました。本年7月にはパルヌ音楽祭のステージにおいて、エストニアが世界に誇るマエストロ、パーヴォ・ヤルヴィ氏に対し、日本政府を代表して旭日中綬章伝達式を執り行ったこともとても良い思い出になりました。人々にお会いし、各地を訪問するたびにエストニアの方々の温かいホスピタリティ(もてなす心)に感謝しております。
2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵略が残念ながら現在も継続しています。また中東情勢も緊迫化するなど国際社会及び日本を取り巻く安全保障環境の変化が様々な分野で加速度的に進んできています。日本周辺においては、中国の外交姿勢や軍事動向、北朝鮮による核・ミサイル開発、さらには、露朝間の軍事協力の進展といった懸念すべき動きが見られています。これらの個別の事象は、グローバルな国際社会において相互に関連し、地域・国際情勢に多様な変化をもたらしています。したがって、欧州大西洋の安全保障とインド太平洋の安全保障が不可分であること、国際社会として世界の安全保障に一体として取り組まなければならないことがこれまで以上に強く認識されています。また、ますます激しくなるサイバー攻撃が世界共通の現実の脅威として深刻に認識されております。これは、我々が欧州大西洋の安全保障に関心を払い、同時にエストニアを含む欧州諸国がインド太平洋の安全保障に関心を払うことで、共に国際社会の平和と安全が維持に取り組まなければならないことを意味しています。エストニアは、日本にとって共通の課題を抱えた最も頼りとなるパートナーの一国です。エストニアで開催されるサイバーセキュリティ関連演習やNATO主催の演習に引き続き我が国から参加するなど、日本とエストニアの間の安全保障協力は順調に進んでおります。
また、この一年間、エストニアからはタロ内務大臣、テラス地域農務大臣、パコスタ法務・デジタル大臣、スットエネルギー環境大臣、カッラス教育科学大臣、ラウドセップ・タリン市長といった多くの閣僚・要人の日本訪問がありました。日本からも岸デジタル大臣政務官、吉田防衛大臣政務官、衆参両院の議員団のエストニア訪問がありました。本年6月のウクライナ復興会議の機会に、国光外務副大臣がツァフクナ外務大臣と会談を行いました。また、9月にはラトビアのリーガで第6回日・バルト協力対話が開催されました。このように二国間の政治対話は緊密かつ順調に行われています。
経済分野においてもエストニアは、我が国にとって最も頼りとなるパートナーの一国です。価値観を共有するだけでなく、「電子国家」としての地位とその成長を支える高い教育水準、そして「ユニコーン企業」の相次ぐ誕生に象徴される起業家精神などに富むエストニアとの経済・ビジネス協力には今後とも大きな可能性があると考えます。本年9月には、日本の一般財団法人原子力国際協力センター(JICC)がエストニア気候省の協力の下5回目となるタリン市での原子力エネルギーに関するセミナーを開催しました。我が国としては、エストニアが取り組んでいるエネルギーを含む大規模インフラ整備に可能な協力を続けていく所存です。またデュアルユース技術分野での協力も進んでいます。
文化においても日本とエストニアは堅く結びついています。大使館は、昨年より日本文化祭「Momiji」を立ち上げました。昨年の第1回「Momiji– Japanese Autumn in Estonia」では、関係者の皆様の温かいご協力のもと、20のイベントを実施し、延べ15,000人を超える皆様にご参加いただくことができました。本年も9月から11月末までの三ヶ月間、Momiji2026が開催され、昨年を上回る充実したイベントの数々が予定されています。日本の文化、芸術、アート、食、スポーツ、武道など、エストニア各地でこれまで以上に盛りだくさんのプログラムをお届けいたします。今年は、タリン市だけでなく、タルトゥ市及びハープサル市でも映画祭など文化行事を開催しています。この機会により多くのエストニアの人々が日本の文化に一層親しんで頂くことを願っています。
9月8日には、カドリオルグ美術館においてオープニングセレモニーを開催しました。その際、エストニア国立男声合唱団のご厚意によるミニコンサートが開催されました。また、このMomijiを一層輝かせるため、ロゴマークを公募いたしました。多くのご応募をいただき、その中から選ばれたMs. Eka Susantiさんのデザインによる素晴らしいロゴと、マスコット・キャラクターが選ばれました。これがこれからのMomijiの顔となり、より多くの方々に親しまれ、日本・エストニアの文化交流の象徴として活躍することを期待しております。大使館のHPやソーシャルメディアに掲載されていますので、是非ご覧になってください。Momijiはこれからも毎年秋に開催する予定です。
在留邦人の皆様が永年にわたって、芸術、文化、教育、経済といった多様な分野で活躍され、両国の架け橋となってくださってきたことに敬意を表します。今後、より多くの方々が両国を相互に訪問し、人と人との交流を通じて絆を深め、末永く友好関係を築いていくことが非常に重要であると考えています。
9月24日、外務省は、令和8年度外務大臣表彰の受賞者を発表し、林知充 日本・エストニア文化交流協会会長が日本とエストニアとの相互理解の促進に寄与した功績により表彰されることとなりました。
大使館の最も重要な使命は、何よりも日本国民の皆様がこの国で安心して生活し、仕事ができるよう、その安全と利益を守ることだと考えております。そのために大使館として、引き続きできる限りの努力をしていく所存です。
2026年10月22日 エストニア共和国駐箚特命全権大使 中村耕一郎

天皇誕生日祝賀レセプション(中村大使およびツァフクナ外務大臣挨拶)

南東部国境視察 ヤルヴィ氏への叙勲伝達式

Momijiオープニングセレモニー
2024年10月18日にタリンに着任し、早くも2年が経ちました。もうすぐこの国に来て三度目の冬を迎えようとしています。昨年の冬は比較的寒く雪が多かったですが、今年はどうなるでしょうか?タリンの冬はクリスマスマーケット、音楽会、劇場と楽しいイベントが多く、楽しみにしております。
この一年間もエストニア政府、国会、防衛、ビジネス、教育、科学、文化を含めエストニアの多くの方にお会いすることができました。また、タルトゥとオテパーを中心とした南エストニア地方、セト地方、パイデ、ハープサル、サーレマー島、ヒーウマー島、ラクヴェレ、シッラマエ、ナルヴァ、パルディスキを含めこの一年間でエストニアの多くの場所を訪問することができました。本年7月にはパルヌ音楽祭のステージにおいて、エストニアが世界に誇るマエストロ、パーヴォ・ヤルヴィ氏に対し、日本政府を代表して旭日中綬章伝達式を執り行ったこともとても良い思い出になりました。人々にお会いし、各地を訪問するたびにエストニアの方々の温かいホスピタリティ(もてなす心)に感謝しております。
2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵略が残念ながら現在も継続しています。また中東情勢も緊迫化するなど国際社会及び日本を取り巻く安全保障環境の変化が様々な分野で加速度的に進んできています。日本周辺においては、中国の外交姿勢や軍事動向、北朝鮮による核・ミサイル開発、さらには、露朝間の軍事協力の進展といった懸念すべき動きが見られています。これらの個別の事象は、グローバルな国際社会において相互に関連し、地域・国際情勢に多様な変化をもたらしています。したがって、欧州大西洋の安全保障とインド太平洋の安全保障が不可分であること、国際社会として世界の安全保障に一体として取り組まなければならないことがこれまで以上に強く認識されています。また、ますます激しくなるサイバー攻撃が世界共通の現実の脅威として深刻に認識されております。これは、我々が欧州大西洋の安全保障に関心を払い、同時にエストニアを含む欧州諸国がインド太平洋の安全保障に関心を払うことで、共に国際社会の平和と安全が維持に取り組まなければならないことを意味しています。エストニアは、日本にとって共通の課題を抱えた最も頼りとなるパートナーの一国です。エストニアで開催されるサイバーセキュリティ関連演習やNATO主催の演習に引き続き我が国から参加するなど、日本とエストニアの間の安全保障協力は順調に進んでおります。
また、この一年間、エストニアからはタロ内務大臣、テラス地域農務大臣、パコスタ法務・デジタル大臣、スットエネルギー環境大臣、カッラス教育科学大臣、ラウドセップ・タリン市長といった多くの閣僚・要人の日本訪問がありました。日本からも岸デジタル大臣政務官、吉田防衛大臣政務官、衆参両院の議員団のエストニア訪問がありました。本年6月のウクライナ復興会議の機会に、国光外務副大臣がツァフクナ外務大臣と会談を行いました。また、9月にはラトビアのリーガで第6回日・バルト協力対話が開催されました。このように二国間の政治対話は緊密かつ順調に行われています。
経済分野においてもエストニアは、我が国にとって最も頼りとなるパートナーの一国です。価値観を共有するだけでなく、「電子国家」としての地位とその成長を支える高い教育水準、そして「ユニコーン企業」の相次ぐ誕生に象徴される起業家精神などに富むエストニアとの経済・ビジネス協力には今後とも大きな可能性があると考えます。本年9月には、日本の一般財団法人原子力国際協力センター(JICC)がエストニア気候省の協力の下5回目となるタリン市での原子力エネルギーに関するセミナーを開催しました。我が国としては、エストニアが取り組んでいるエネルギーを含む大規模インフラ整備に可能な協力を続けていく所存です。またデュアルユース技術分野での協力も進んでいます。
文化においても日本とエストニアは堅く結びついています。大使館は、昨年より日本文化祭「Momiji」を立ち上げました。昨年の第1回「Momiji– Japanese Autumn in Estonia」では、関係者の皆様の温かいご協力のもと、20のイベントを実施し、延べ15,000人を超える皆様にご参加いただくことができました。本年も9月から11月末までの三ヶ月間、Momiji2026が開催され、昨年を上回る充実したイベントの数々が予定されています。日本の文化、芸術、アート、食、スポーツ、武道など、エストニア各地でこれまで以上に盛りだくさんのプログラムをお届けいたします。今年は、タリン市だけでなく、タルトゥ市及びハープサル市でも映画祭など文化行事を開催しています。この機会により多くのエストニアの人々が日本の文化に一層親しんで頂くことを願っています。
9月8日には、カドリオルグ美術館においてオープニングセレモニーを開催しました。その際、エストニア国立男声合唱団のご厚意によるミニコンサートが開催されました。また、このMomijiを一層輝かせるため、ロゴマークを公募いたしました。多くのご応募をいただき、その中から選ばれたMs. Eka Susantiさんのデザインによる素晴らしいロゴと、マスコット・キャラクターが選ばれました。これがこれからのMomijiの顔となり、より多くの方々に親しまれ、日本・エストニアの文化交流の象徴として活躍することを期待しております。大使館のHPやソーシャルメディアに掲載されていますので、是非ご覧になってください。Momijiはこれからも毎年秋に開催する予定です。
在留邦人の皆様が永年にわたって、芸術、文化、教育、経済といった多様な分野で活躍され、両国の架け橋となってくださってきたことに敬意を表します。今後、より多くの方々が両国を相互に訪問し、人と人との交流を通じて絆を深め、末永く友好関係を築いていくことが非常に重要であると考えています。
9月24日、外務省は、令和8年度外務大臣表彰の受賞者を発表し、林知充 日本・エストニア文化交流協会会長が日本とエストニアとの相互理解の促進に寄与した功績により表彰されることとなりました。
大使館の最も重要な使命は、何よりも日本国民の皆様がこの国で安心して生活し、仕事ができるよう、その安全と利益を守ることだと考えております。そのために大使館として、引き続きできる限りの努力をしていく所存です。
2026年10月22日 エストニア共和国駐箚特命全権大使 中村耕一郎

天皇誕生日祝賀レセプション(中村大使およびツァフクナ外務大臣挨拶)

南東部国境視察 ヤルヴィ氏への叙勲伝達式

Momijiオープニングセレモニー