中村耕一郎在エストニア日本大使より御挨拶
令和7年11月6日
皆さん、こんにちは。特命全権大使の中村耕一郎です。
昨年10月18日にタリンに着任し、28日にカリス大統領に信任状を捧呈してから早くも丸一年が経ちました。美しいエストニアの秋の景色を楽しみつつ、再び冬を迎えようとしています。エストニアの冬は寒く、日照時間が短くて辛くはないですかと、エストニアの人にしばしば訊かれますが、そのようには感じていません。冬はクリスマスマーケット、音楽会、劇場と楽しいイベントが多く、楽しみにしております。
この一年間、ミッハル首相、フッサル国会議長、ツァフクナ外相をはじめとするエストニア政府・議会要人を含め本当に多くの人にお会いすることができました。また、タルトゥ市、ナルヴァ市、パルヌ市、ヴォル市、サーレマ島、セトマ地方を始めエストニアの多くの場所を訪問することができました。人々にお会いし、各地を訪問するたびにエストニアの方々の温かいホスピタリティ(もてなす心)に感謝しております。
2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻が残念ながら現在も継続しており、世界の安全保障環境は依然として不安定です。欧州大西洋の安全保障とインド太平洋の安全保障が不可分であること、国際社会として世界の安全保障に一体として取り組まなければならないことがこれまで以上に強く認識されています。また、サイバー攻撃が世界共通の現実の脅威として深刻に認識されております。我々が欧州大西洋の安全保障に関心を払い、同時にエストニアを含む欧州諸国がインド太平洋の安全保障に関心を払うことで、共に国際社会の平和と安全が維持に取り組まなければならないとの共通の理解が生まれています。エストニアは、日本にとって共通の課題を抱えた最も頼りとなるパートナーの一国です。エストニアで開催されるサイバーセキュリティ関連演習に引き続き我が国から参加するなど、日本とエストニアの安全保障協力は順調に進んでおります。本年7月には、当館として初めての自衛隊記念日レセプションを開催し、たくさんのお客様に来ていただきました。
経済分野においてもエストニアは、我が国にとって最も頼りとなるパートナーの一国です。価値観を共有するだけでなく、「電子国家」としての地位とその成長を支える高い教育水準、そして「ユニコーン企業」の相次ぐ誕生に象徴される起業家精神などに富むエストニアとの経済・ビジネス協力には今後とも大きな可能性があると考えます。この夏には、日本の一般財団法人原子力国際協力センター(JICC)が今年で4回目となるタリン市での原子力エネルギー・原子力安全に関するセミナーを開催しました。我が国としては、エストニアが取り組んでいるエネルギーを含む大規模インフラ整備に可能な協力を続けていく所存です。
文化においても日本とエストニアは堅く結びついています。この国で多くの芸術家が活躍し、少なからぬ日本人留学生が学んでいます。今年の7月には5年に一度の全国歌の祭典が開催され、日本からは、和歌山児童合唱団が参加した他、エストニアに留学中の日本人学生も参加しました。また、エストニアのサク市と長年友好都市・姉妹都市関係にある佐久市から市長を団長とする代表団が歌の祭典のパレードに参加しました。私自身、歌の祭典を観覧しましたが、その規模の大きさとエストニアの人々が心を一つに合わせて歌う姿に強い感銘を受けました。
大使館は、今年より日本文化祭「もみじ」を立ち上げました。9月から11月末までの間に、エストニア・日本文化交流協会主催「日本文化の日」や当館主催「Japanese Cinema Days」を始めとする多くの日本文化関連行事が開催されています。この機会により多くのエストニアの人々が日本の文化に一層親しんで頂くことを願っています。この文化祭は毎年秋に開催する予定です。
在留邦人の皆様が永年にわたって、芸術、文化、教育、経済といった多様な分野で活躍され、両国の架け橋となってくださってきたことに敬意を表します。今後、より多くの方々が両国を相互に訪問し、人と人との交流を通じて絆を深め、末永く友好関係を築いていくことが非常に重要であると考えています。
そのためにも、大使館の最も重要な使命は、何よりも日本国民の皆様がこの国で安心して生活し、仕事ができるよう、その安全と利益を守ることだと考えております。そのために大使館として、引き続きできる限りの努力をしていく所存です。
2025年11月6日 エストニア共和国駐箚特命全権大使 中村耕一郎

指揮者パーヴォ・ヤルヴィ氏と 姉妹都市関係にある長野県佐久市およびサク市の両市長・議長と
昨年10月18日にタリンに着任し、28日にカリス大統領に信任状を捧呈してから早くも丸一年が経ちました。美しいエストニアの秋の景色を楽しみつつ、再び冬を迎えようとしています。エストニアの冬は寒く、日照時間が短くて辛くはないですかと、エストニアの人にしばしば訊かれますが、そのようには感じていません。冬はクリスマスマーケット、音楽会、劇場と楽しいイベントが多く、楽しみにしております。
この一年間、ミッハル首相、フッサル国会議長、ツァフクナ外相をはじめとするエストニア政府・議会要人を含め本当に多くの人にお会いすることができました。また、タルトゥ市、ナルヴァ市、パルヌ市、ヴォル市、サーレマ島、セトマ地方を始めエストニアの多くの場所を訪問することができました。人々にお会いし、各地を訪問するたびにエストニアの方々の温かいホスピタリティ(もてなす心)に感謝しております。
2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻が残念ながら現在も継続しており、世界の安全保障環境は依然として不安定です。欧州大西洋の安全保障とインド太平洋の安全保障が不可分であること、国際社会として世界の安全保障に一体として取り組まなければならないことがこれまで以上に強く認識されています。また、サイバー攻撃が世界共通の現実の脅威として深刻に認識されております。我々が欧州大西洋の安全保障に関心を払い、同時にエストニアを含む欧州諸国がインド太平洋の安全保障に関心を払うことで、共に国際社会の平和と安全が維持に取り組まなければならないとの共通の理解が生まれています。エストニアは、日本にとって共通の課題を抱えた最も頼りとなるパートナーの一国です。エストニアで開催されるサイバーセキュリティ関連演習に引き続き我が国から参加するなど、日本とエストニアの安全保障協力は順調に進んでおります。本年7月には、当館として初めての自衛隊記念日レセプションを開催し、たくさんのお客様に来ていただきました。
経済分野においてもエストニアは、我が国にとって最も頼りとなるパートナーの一国です。価値観を共有するだけでなく、「電子国家」としての地位とその成長を支える高い教育水準、そして「ユニコーン企業」の相次ぐ誕生に象徴される起業家精神などに富むエストニアとの経済・ビジネス協力には今後とも大きな可能性があると考えます。この夏には、日本の一般財団法人原子力国際協力センター(JICC)が今年で4回目となるタリン市での原子力エネルギー・原子力安全に関するセミナーを開催しました。我が国としては、エストニアが取り組んでいるエネルギーを含む大規模インフラ整備に可能な協力を続けていく所存です。
文化においても日本とエストニアは堅く結びついています。この国で多くの芸術家が活躍し、少なからぬ日本人留学生が学んでいます。今年の7月には5年に一度の全国歌の祭典が開催され、日本からは、和歌山児童合唱団が参加した他、エストニアに留学中の日本人学生も参加しました。また、エストニアのサク市と長年友好都市・姉妹都市関係にある佐久市から市長を団長とする代表団が歌の祭典のパレードに参加しました。私自身、歌の祭典を観覧しましたが、その規模の大きさとエストニアの人々が心を一つに合わせて歌う姿に強い感銘を受けました。
大使館は、今年より日本文化祭「もみじ」を立ち上げました。9月から11月末までの間に、エストニア・日本文化交流協会主催「日本文化の日」や当館主催「Japanese Cinema Days」を始めとする多くの日本文化関連行事が開催されています。この機会により多くのエストニアの人々が日本の文化に一層親しんで頂くことを願っています。この文化祭は毎年秋に開催する予定です。
在留邦人の皆様が永年にわたって、芸術、文化、教育、経済といった多様な分野で活躍され、両国の架け橋となってくださってきたことに敬意を表します。今後、より多くの方々が両国を相互に訪問し、人と人との交流を通じて絆を深め、末永く友好関係を築いていくことが非常に重要であると考えています。
そのためにも、大使館の最も重要な使命は、何よりも日本国民の皆様がこの国で安心して生活し、仕事ができるよう、その安全と利益を守ることだと考えております。そのために大使館として、引き続きできる限りの努力をしていく所存です。
2025年11月6日 エストニア共和国駐箚特命全権大使 中村耕一郎

指揮者パーヴォ・ヤルヴィ氏と 姉妹都市関係にある長野県佐久市およびサク市の両市長・議長と

自衛隊記念日レセプション