北岡大使より、皆様へお別れの挨拶

令和3年11月9日
カリス大統領、アッセル学長とともに
リーメッツ外相とともに
11月9日、北岡大使は、2年1か月の任期を終了し、エストニアを離任しました。
大使にとってはあまりに短い任期で、コロナ禍による制約で一層短く感じられますが「エストニアと日本の関係を、もっと、もっと深めよう!」という志を同じくするエストニアの、そして日本の友人に助けられ、励まされながら、随分と濃密な時間を過ごせたかな、とも思っています。
帰国後は退官し、42年にわたる外交官人生に、そして役人人生にピリオドを打って引退生活に入ります。
エストニアは、個人的にすっかりハマってしまった国で、42年にわたる外交官生活で最も好きな国となりました!
中世に遡る歴史の面影を宿しつつ、しかしその背後に拡がる広大なサイバー空間には、コンピューターのネットワークが網の目のように張り巡らされて「デジタル最先進国」が実現している。
このミスマッチに気が付くと、もはや手遅れで、エストニアの魅力から足を抜くことが出来なくなってしまいます!
エストニアを楽しみながらも、さらに「エストニアは、日本がお師匠とすべき重要な国だな」との思いを深くした2年1か月でもありました。
過去数十年にもわたって経済と社会が停滞している日本ですが、エストニアが極めたデジタル化は、この問題への解決を示唆してくれる、というのが大使の結論です。
インフォメーションが組織で、水平に、そして垂直に一瞬で共有され、上下を問わず組織のメンバーの「気付き」が原動力になって戦略が改定され、新たな戦略が生まれて行く。
日本の官民で行き過ぎたビューロクラシーに対する格好の解毒剤が、エストニアのお家芸たるデジタル化によってもたらされる、と今真剣に考えています。
エストニアには親日的な方が多く、そして日本にも、エストニアにハマる人々が増えつつありますが、もっともっと深いレベルでエストニアを理解してくれる日本人が増えると良いな、と思います。
今年はエストニアと日本の友好100周年にあたる記念すべき年ですが、では次の100年に何が起こるか?
大使がこれまで専門家として研究して来た「インテリジェンス学」の最先端では「未来は予測出来ない。備えることが出来るだけだ」ということになりますが、それでも大使は、次の100年間に両国関係が飛躍的に高まることを確信しております。
大使は両国間の友好関係のために、コロナ禍でも決して足を止めることなく走り続けました。
それが可能になったのは、そのような大使をしっかりと受け入れて、最後の瞬間まで一緒に走ってくれたエストニアの、そして日本の友人がいてくれたからです。
彼らに心より感謝しつつ、そしていつか再び、愛してやまないエストニアの地を踏むことを夢見つつ、まずは引退させて頂きます。
皆さん、本当に、どうも有難うございました!
皆さん、ありがとうございました!