エストニア政治・経済月間情報
2015年6月のエストニア月間情勢
ポイント
- 内政面では,6月の政党支持率世論調査で,引き続き与党改革党の支持率が低下する一方で,中央党が最も高い支持率を維持。15日,国会が税制法案パッケージを採択。30日,タリン地区裁判所が2審で,外務大臣の父親がオーナーであったアウトロロ社の倒産に関し,ペントゥス=ロシマヌス外務大臣夫妻らに債権者への賠償金16万ユーロと利子3万ユーロの支払いを命ずる判決(それを受けて,7月1日,「ペ」外務大臣が辞意を表明)。
- 外交面では,4日,ロシアがエストニア及びラトビアの全ての水産加工品に対する禁輸措置を実施。また,ジェブ・ブッシュ元米フロリダ州知事(13日),ファロン英国防大臣(18日),カーター米国防長官(23日)がエストニアを訪問。
- 国防関係では,15日,NATO即応部隊受け入れに備える司令部(command element)がタリンで活動開始。
本文
1 内政・国内経済
- 3日,Olerex社(ガソリンスタンド),Lukoil Eesti社(同)の買収を発表。
- 3日,OECD経済予測:本年の経済成長率+2.1%,失業率6.5%,物価上昇率+0.1%
- 6日,祖国共和同盟,党大会でツァフクナ社会大臣を党首に選出。
- 9日,エヴェリン・イルヴェス元大統領夫人,Ekspress Media社(マスコミ)に勤務予定との報道。
- 8日,経済自由度ランキング(ヘリテージ財団,ウォールストリート・ジャーナル):1位香港,2位シンガポール,3位ニュージーランド,8位エストニア。(エストニアは欧州ではスイスに次いで2位)
- 10日,保守人民党主催の反移民デモ(於:タリン)。
- 13日,6月政党支持率世論調査(Turu-uuringute社調査):中央党28%,社民党18%,改革党16%,自由党15%,祖国共和同盟9%,保守人民党6%
- 14日,シベリア追放追悼行事(於:タリン)。ネストル国会議長等が献花。1941年に約1万人がシベリアに送られ,約6,000人が飢餓で死亡又は殺害。
- 15日,国会,税制法案パッケージ(酒税,たばこ税,ガソリン税,宿泊施設付加価値税を増税し,個人所得税の課税最低限を引き上げ,労働関連税率を引き下げる内容)を採択。野党による首相不信任案を否決。
- 16日,欧州人権裁判所,ビジネスマンを中傷する読者コメントに関して国内で有罪判決を受けたポータルサイト・デルフィが国を相手に訴えていた裁判で,デルフィの訴えを退ける判決。
- 19日,サヴィサール中央党党首,退院。3月に重度の感染症のため入院し,右足を切除。
- 23日,1919年の対独独立戦争の戦勝記念日。大統領他が出席の下,ヒーウマー島で軍事パレードを実施。
- 29日,欧州委員会,レール・バルティック計画のためのバルト三国による資金申請5億4,000万ユーロを承認する方針である旨発表。各国はこのうち18%を自己資金として負担する見通し。
- 30日,タリン地区裁判所(2審),ペントゥス=ロシマヌス外務大臣の父親がオーナーであったアウトロロ社の倒産に関し,同大臣夫妻等に債権者への賠償金16万ユーロと利子3万ユーロの支払いを命ずる判決。最高裁に上告の見通し。(当館注:「ペ」外務大臣は,この判決を受けて7月1日に辞意を表明)
- 30日,Tallilnna Sadam社(国有港湾),ムーガ港への小規模LNGターミナル建設案を承認。Vopak E.O.S.社が2,000万ユーロを投資し,2017年に完成予定。
2 外交・その他対外関係
- 1日,エストニア外務省,ロシアによるEU要人入国禁止リストにエストニア人8人も 含まれていた問題で,駐エストニア・ロシア大使を呼び出し。
- 2日,カタイネン欧州委員会副委員長,エストニア訪問。欧州戦略投資基金に関してロイヴァス首相と公開討論。セステル財務大臣,ミッハル経済大臣,パロ企業大臣と会合 。
- 2~3日,イルヴェス大統領,ジョージア訪問。マルグヴェラシヴィリ大統領と会談。
- 3日,ロイヴァス首相,クロアチア訪問。
- 3日,ソイニ・フィンランド新外務大臣,エストニア訪問。ペントゥス=ロシマヌス外務大臣と会談。
- 4日,ロシアがエストニア産及びラトビア産の全ての水産加工品(缶詰類を含む)に対する禁輸措置を実施。
- 5日,ペントゥス=ロシマヌス外務大臣,欧州のインターネットガバナンスに関する会議に出席(於:ブルガリア)。
- 6~10日,ペントゥス=ロシマヌス外務大臣,訪米。Antony Blinken国務次官補らと会談したほか,安全保障関連の演説。
- 7日,イルヴェス大統領,ミラノ万博を視察。「エストニアの日」の行事に出席。
- 9日,シピラ新フィンランド首相,エストニア訪問。ロイヴァス首相と会談。
- 10~11日,ロイヴァス首相,EU・南米・カリブ海諸国首脳会合に出席(於:ブリュッセル)。
- 10~11日,シャーロック・アイルランド貿易大臣,エストニア訪問。同国からの大臣レベルの訪問は初。
- 11日,ユーログループ議長のデイセルブルム・オランダ財務大臣,エストニア訪問。ギリシャの状況に関してセステル財務大臣と協議。
- 13日,米共和党の大統領候補になる可能性のあるジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事,エストニアを私的に訪問。イルヴェス大統領,ロイヴァス首相他と会談。
- 15日,NATO即応部隊受け入れに備える司令部(command element),タリンで活動開始。昨年9月のウェールズ首脳会合で決定したもの。
- 18日,ファロン英国防大臣,エストニア訪問。ミクセル国防大臣やアマリ空軍基地に勤務する英空軍兵士と会談。
- 18日,欧州司法裁判所,零細企業の会計報告の簡素化に関するEU指令に反対するエストニアの訴えを退ける。
- 19日,エストニア内務省,米国大使館によるテロ対策の市民監視プログラムに関し,誰でも路上で撮影してよいので,米国大使館による隠し撮りは合法的との立場を表明。
- 22日,ロシア軍用機,エストニア領空を侵犯。ロシア側は否定。
- 22日,ペントゥス=ロシマヌス外務大臣,対露制裁期間の延長を決めた閣僚理事会に出席(於:ルクセンブルク)。
- 22~23日,ミッハル経済インフラ大臣,ラトビア,リトアニア,ポーランド,フィンランドの運輸相とレール・バルティック実現に関する宣言に署名(於:リガ)。
- 23日,カーター米国防長官,エストニア訪問。イルヴェス大統領,ロイヴァス首相,ミクセル国防大臣と会談したほか,バルト・中欧諸国への米軍装備の事前集積を発表。
- 25日,ホロレイ欧州委員会副事務局長,欧州委モビリティ・運輸総局局長に任命。エストニア人の総局長任命は初。
- 25~26日,ロイヴァス首相,難民受け入れに関する欧州理事会臨時会合に出席(於:ブリュッセル)。
- 20日,サントメ・プリンシペ首相,エストニア訪問。ロイヴァス首相と会談。
- 29日,オーストリア,2018年までにバルト三国の大使館を閉鎖するとの報道。
- 30日,ペントゥス=ロシマヌス外務大臣,スウェーデン訪問。ヴァルストローム外務大臣と会談。
- 30日,エストニア・ベラルーシ領事協議(於:タリン)。
3 経済関係統計
- ・第1四半期GDP:前年同期比+1.1%
- 4月輸出:前年同月比+0%の10億ユーロ,輸入:同-4%の11億ユーロ。
- 2014年平均賃金:前年比+5.9%の1,005ユーロ。
- 5月消費者物価指数:前年同月比+0.1%。
- 2014年タリン不動産価格(Global Property Guide):前年比+12.6%で大陸欧州で1番,世界で3番目の上昇率。
- 昨年エストニアン・エアー社売上6,990万ユーロ,損失1,040万ユーロ。
※ 本ページは、エストニアの政治・経済情勢を中心に各種報道・発表を取りまとめたものですので、記載事項の信憑性まで確認したものではありません。また、在エストニア日本大使館の見解を示すものではなく、特定の団体・個人の利益を代表するものでもありません。