エストニア政治・経済月間情報
2014年12月のエストニア月間情勢
ポイント
- 内政面では,1日,電子居住権(E-レジデンシー)に基づくデジタル身分証明書の発行開始。改革党が他党に比べて高い支持率(32%)を維持。
- 外交面では,2日にバルト・ポーランド大統領会合,5日にバルト首相会合がエストニアで開催され,安全保障問題等に関して協議。9日,パロ経済インフラ大臣が,電子政府が発達したエストニアを含め,5ヶ国を束ねるD5ネットワーク設立憲章に署名。
- 日・エストニア関係では,17~18日,タリンにおいて第2回日エストニア・サイバー協議が開催。
本文
1 内政・国内経済
- 1日,電子居住権(E-レジデンシー)に基づく最初のデジタル身分証明書が,エコノミスト紙編集主任のエドワード・ルーカス氏に発行される。外国人もエストニアの電子サービスの利用が可能に。
- 1日,VKG社(オイルシェール油),原料のオイルシェールの値段高騰と製品(オイルシェール油)の価格低下を理由に工場2カ所を閉鎖し,人員整理を実施する旨発表。
- 2日,汚職の低さランキング(Transparency International):1位デンマーク,26位エストニア。
- 4日,政府,在シドニー総領事館を閉鎖し,2015年1月より在キャンベラ大使館を開設する旨決定。
- 4日,政府,新CO2排出権取引スキームを承認。
- 5日,オルガ・ソトニク議員,中央党を離党し,社民党名簿で国会選挙に立候補へ。
- 6日,ハリュ県のタリン・タルトゥ道路で男性が誘拐され,行方不明に。同乗の女性は銃撃され負傷。
- 10日,国会,2015年国家予算案を可決。(賛成56票,反対35票。歳入84億5,000万ユーロ,歳出85億4,000万ユーロ)。
- 10日,中央銀行の経済成長予測:2015年+2.1%,2016年+3.3%。
- 11日,国会,来年の海外派兵法案を可決。EU北欧戦闘群,NATO即応部隊として,アフガニスタン,マリ,コソボ,中東等に派遣。
- 11日,国会,各種国家手数料の引き下げを求めたテデル行政監察官の要請を拒否。
- 11日,パロ経済インフラ大臣とTallinna Sadam社(国有港湾),本土と島嶼部を結ぶ連絡船運行事業に関する契約に署名。
- 15日,12月政党支持率(Emor社):政党名回答者のうち改革党32%、中央党23%、社民党21%、祖国共和同盟16%。
- 16日,社民党,租税に関する提案を発表。地域社会税,累進課税制,前納法人税,トラック税を導入。
- 16日,ラウリ財務大臣,欧州投資銀行(EIB)融資契約に署名。2020年までに最大6億ユーロの融資を受け,EU構造基金資金によるプロジェクトに使用。
- 17日,国会,公共の場での飲酒を禁止する治安維持法改正案を可決。
- 18日,ユーロ支持率:78%。2012年及び2013年は64%。
- 22日,最高裁,テデル行政監察官の訴えを認めて,医薬品店開業の規制は違憲であると判断。
2 外交・その他対外関係
- 2日,バルト三国・ポーランド大統領会合(於:エストニア)。ウクライナ情勢や安全保障問題等に関して協議。
- 2~3日,ペントゥス=ロシマヌス外務大臣,NATO外相会合と反イスラム国会合に出席(於:ブリュッセル)。
- 3~4日,ペントゥス=ロシマヌス外務大臣,OSCE外相会合に出席(於:バーゼル)。
- 5日,バルト三国首相会合(於:エストニア)。安全保障,エネルギー協力に関して協議。
- 6~12日,ロイヴァス首相,訪米。バイデン副大統領らと会合。経済代表団が同行。
- 9日,パロ経済インフラ大臣,電子政府が発達した国を束ねるD5ネットワーク設立憲章に署名(於:ロンドン)。エストニアの他,英国,韓国,イスラエル,ニュージーランドが参加。
- 9日,ロシア偵察機IL-20,オスムス島(北西部)北東でエストニア領空を侵犯。
- 11日,エストニア政府,2015年の在ルーマニア大使館開設を決定。ルーマニアも来年在エストニア大使館を開設。
- 14日,ロシア・インターファクス通信が,エストニアの元保安警察官(元KGBでモスクワ在住)が20年間ロシアFSBのスパイであった旨報道。
- 16日,入国禁止対象のイタリア人ジャーナリスト,タリンで拘束された後,同日深夜に釈放され,国外退去を命じられる。そのジャーナリストは親クレムリンの団体を束ねる組織のメンバーで,講演のため15日にタリン訪問。
- 16~17日,ロイヴァス首相,中国・中東欧首脳会合に出席(於:セルビア)。
- 17~18日,タリンにおいて第2回日エストニア・サイバー協議が開催。両国の官民関係者の間で,サイバーセキュリティ,日本のマイナンバー・システム等に関して協議。
- 18~19日,ロイヴァス首相,欧州理事会会合に出席(於:ブリュッセル)。ユンケル欧州委員長による欧州戦略投資基金案やウクライナ支援に関して協議。
- 19日,ムルニエセ・ラトビア国会議長,エストニア訪問。イルヴェス大統領やネストル国会議長と会合。
- 19日,ペントゥス=ロシマヌス外務大臣,グルジア訪問。大統領,首相,外務大臣,欧州統合大臣と会合。
- 21日,米国,2015年国家予算でエストニア・アマリ航空基地の整備に2,500万ドル計上との報道。
- 22日,ドンブロウスキス欧州委員会副委員長(前ラトビア首相),エストニア訪問。ロイヴァス首相,ラウリ財務大臣と会合。
- 25日、ロシア軍用機An-72、ヴァインドロー島付近で約1分間エストニア領空を侵犯。ロシア国防省は領空侵犯を否定。
- 31日,NATOミッションでエストニア滞在中のドイツ空軍兵士のホテルの部屋が物色された事件に関し,ロシアのスパイの仕業である可能性があるとの報道。
3 経済関係統計
- 第3四半期GDP(修正値):前年同期比+2.2%。
- 10月輸出:前年同期比+5%の12億ユーロ,輸入:同+5%の13億ユーロ。
- 11月消費者物価指数:前年同月比-0.6%。
※ 本ページは、エストニアの政治・経済情勢を中心に各種報道・発表を取りまとめたものですので、記載事項の信憑性まで確認したものではありません。また、在エストニア日本大使館の見解を示すものではなく、特定の団体・個人の利益を代表するものでもありません。