エストニア政治・経済月間情報
2014年3月のエストニア月間情勢
【ポイント】
- 内政面では,アンシプ首相が辞任し,26日,改革党と社民党の連立によるロイヴァス新政権が発足した。パエト外相が留任する一方,約半数の閣僚が交代(三菱商事等との排出権取引を手掛けたスリング首相顧問が貿易企業相として入閣)。
- 外交面では,4~8日,イルヴェス大統領が訪日し,天皇皇后両陛下,安倍総理等と会談した。また,ウクライナ情勢を受けて,米国がNATOバルト領空監視ミッションに戦闘機6機を増派した。
- 経済面では,2013年のGDPが(+0.7%から)+0.8%に上方修正。
【本文】
1 内政・国内経済
- 2日,国防評議会(大統領諮問機関),ウクライナ情勢を受けて臨時召集。ロシアによる侵攻に対するEU及びNATOの強硬な対抗策を支持。
- 4日,アンシプ首相,イルヴェス大統領に辞任届を提出。
- 4日,改革党の首相候補とされるカッラス欧州委員会副委員長,90年代の中銀総裁時代に英国のダミー会社に1億ドルの保証を与えていたとの報道。
- 5日,国会臨時会,ウクライナ支援及びロシアにウクライナ領からの撤退を求める声明を採択。
- 6日,第2エストリンク(エストニア・フィンランド間の海底電力ケーブル),開設式典。
- 9日,ソ連によるタリン空襲追悼70周年記念日。死者800人。
- 10日,ロシア,エストニアの水産2社及び乳業1社に対する禁輸措置を取り消し。
- 12日,カッラス欧州委員,中銀保証問題を巡る個人攻撃を理由に組閣を断念。改革党はターヴィ・ロイヴァス社会相を新たな首相候補に決定。
- 14日,イルヴェス大統領,首相候補にロイヴァス社会相(改革党)を指名。
- 19日,各国大使館経済・商務担当官・専門家会合(於:大使公邸)。スリング首相顧問とヴァラク・タリン工科大学副学長が排出権取引や日本企業との共同研究等に関して講演。
- 19日,エストニア外務省のウェブサイトがサイバー攻撃を受け,一時的に停止。
- 20日,改革党と社民党,連立協定に署名。所得税減税,児童手当増額。
- 20日,ネストル国会新議長(社民党)選出。副議長2人は再選。
- 21日,3月政党支持率(TNS Emor):政党名回答者のうち中央党27%,社民党26%,改革党24%,祖国共和同盟16%。支持政党なし33%。
- 21日,保安警察,昨年のタリン市議会選挙で中央党員による買収を防止との報道。
- 24日,国会,ロイヴァス首相候補を承認。賛成55,反対36票。
- 24日,国会,日本等との排出権取引及び電気自動車普及プロジェクトの責任者を務めてきたアンネ・スリング首相顧問を改革党の貿易企業大臣候補に選出。
- 25日,1949年3月のソ連による2万人シベリア追放の65周年追悼行事。
- 26日,イルヴェス大統領,ロイヴァス内閣を任命。国会で宣誓して就任。
- 27日,国会,テデル行政監察官の提案に基づき中央党3議員の免責剥奪。
- 27~29日,タリン・ミュージック・ウィーク開催。プッシー・ライオットが対談会に参加したほか,イルヴェス大統領と会合。
2 外交・その他対外関係
- 2月28日~3月12日,IMF代表団,エストニア訪問。
- 3日,パエト外相,ウクライナ情勢に関するEU外相臨時会合に出席(於:ブリュッセル)。
- 4日,パエト外相,国連人権理事会セミナーで演説(於:ジュネーブ)。
- 4~8日,イルヴェス大統領夫妻,議員団,経済代表団,訪日。大統領は天皇皇后両陛下,安倍総理,山本IT政策担当大臣,山崎参議院議長等と会談。
- 6日,パエト外相とアシュトンEU外交・安全保障政策上級代表のウクライナ情勢に関する通話が盗聴され,ユーチューブで公開。
- 6日,アンシプ首相,ウクライナ情勢に関するEU臨時首脳会合に出席(於:ブリュッセル)。
- 6日,米国,ウクライナ情勢を受けてバルト領空監視ミッションに戦闘機6機を増派。
- 6~7日,北欧・バルト・ヴィシェグラード外相会合(於:ナルヴァ市)。ウクライナ情勢やエネルギーに関して協議。
- 8日,オバマ大統領,ウクライナ情勢に関してバルト三国の大統領と電話会談。
- 10日,エストニア外務省,アフガニスタンの保健関連研修に1万4,000ユーロ。
- 11日,シュタインマイヤー独外相,エストニア訪問。ウクライナ情勢に関してイルヴェス大統領及びパエト外相と協議。
- 13日,パエト外相,女性の地位に関する国連委員会会合に出席(於:米国)。
- 13日,エストニア外務省とタリン大学,カブール大学のIT教育を支援。
- 17日,パエト外相,閣僚理事会とウクライナ外相も出席するウクライナ友好国グループ会合に出席(於:ブリュッセル)。
- 18~20日,イルヴェス大統領,レインサル国防相,パルツ経済相,ティードゥス文化相,ポーランド訪問。大統領は同国訪問中のバイデン米副大統領とも会合。
- 20~21日,アンシプ首相,欧州理事会会合に出席(於:ブリュッセル)。
- 20日,政府,ウクライナの領土一体性,主権,独立を損なう又は脅かす行為に関連する制裁措置を承認。
- 21日,ル・ドリアン仏国防相,エストニア訪問。レインサル国防相とロシアへのミストラル級強襲揚陸艦売却やバルト防空に関して協議。
- 21~24日,イルヴェス大統領,ブリュッセル訪問。EUクラウド運営評議会議長として最終報告書をクルース欧州委員に提出し,ブリュッセル・フォーラムに出席。
- 27~28日,パエト外相,ウズベキスタン訪問。外相や対外貿易相と会合。
3 経済関係統計
- 2013年GDP:前年比+0.8%(修正値)。
- 1月輸出:前年同月比-20%の9億ユーロ,輸出:同-15%の10億ユーロ。
- 2月消費者物価指数:前年比+0.6%。
※ 本ページは、エストニアの政治・経済情勢を中心に各種報道・発表を取りまとめたものですので、記載事項の信憑性まで確認したものではありません。また、在エストニア日本大使館の見解を示すものではなく、特定の団体・個人の利益を代表するものでもありません。